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【各 種 指 針】虐待(身体拘束)・感染(まん延)・ 事故/ヒヤリ

【指針】高齢者虐待防止 及び 身体拘束等の適正化

1. 目的
事業所や利用者家族などによる高齢者虐待を防止するための各種活動や体制を整備することを目的として、本指針を策定する。

2. 基本的考え方
利用者のQOL維持・向上を目的とする介護において、高齢者虐待はあってはならないものであり、高齢者への虐待を防止することは最優先事項である。
この際、高齢者虐待の発生は、個人の要因のみでなく、組織やシステムの要因も関与することを理解することが必要である。
そのため、高齢者虐待防止について各職員が理解し、適切かつ効果的な対応を実施するだけでなく、組織として虐待防止に取り組むことが重要であるため、法人内に虐待防止に関する担当者を設け、虐待防止委員会を設置する。併せて、虐待防止に関する正しい知識と技術、システムを向上させるための研修会を定期的に開催する。

3. 管理体制
(1) 担当者
事業所や利用者家族などによる虐待の防止を推進し、虐待ゼロを実現・継続するために、虐待防止の担当者を設置する。担当者は、虐待防止委員会の委員長が兼務する。

(2) 虐待防止委員会
 事業所や利用者家族などによる虐待の防止を推進し、虐待ゼロを実現・継続するために「虐待防止委員会」を設置する。
① 委員会の構成
 虐待防止委員会は以下の者で構成する。
・管理者/施設長
・虐待防止担当者(委員長兼務)
・看護職員
・介護職員
・生活相談員
・その他

② 委員会の業務
 虐待防止委員会は、年に2回の定期開催のほか、委員長の招集により必要に応じて開催し、次に掲げる事項について審議する。
・国内での虐待に関する情報収集、分析、対策計画の策定
・利用者の状況把握、分析、対策計画の策定
・職員、職場の状況把握、分析、対策計画の策定
・虐待の一歩手前となる「不適切ケア」の把握、分析、対策計画の策定
・各部での虐待防止対策実施状況の把握、分析、対策計画の策定
・職員研修の計画立案、実行
・本委員会その他事業所内の組織に関すること
   ・指針の整備に関すること
   ・虐待に関する相談・報告体制、市町村への通報、確実な再発防止策とその効果評価に関する
こと
・その他、虐待防止に関すること

③ 会議結果の周知
 委員長は、委員会の結果について職員に周知すること。
 
(3) 職員研修
 事業所職員に対し、高齢者虐待防止の知識・技術、システムの習得、向上を目的として、虐待防止委員会の企画により、以下の通り実施する。
① 新規採用者対象
 新規採用時に基本的事項に関する研修を実施する。
② 全職員対象
 年1回、全職員を対象として虐待防止に関する研修を行う。
③ その他
 上記のほか、必要と思われる対象者・部署に、必要と思われる時期に研修を行うことがある。随時、虐待や虐待防止に関する情報を提供する。
研修の内容については記録し保存すること。

(4) 虐待防止に関する情報提供
 随時、虐待防止意識を高めるために、国内外で発生した虐待の実例や虐待防止の好事例について、職員へ情報提供し、自部署での虐待防止策の構築に役立てる。
① 対象者
 全職員を対象とする。
② 実施回数
 不定。

③ 実施方法
 虐待発生の事例や虐待防止の好事例について、新聞記事、ネットニュースなどの内容を伝達する。事例を自部署での虐待防止対策に役立てる。

4. 平常時の対応
(1) 不適切ケアの解消
① 不適切ケアのチェックリスト
 虐待に至る前の「不適切なケア」の段階から、その発生解消を図ることが重要である。その一環として、定期的に「不適切ケアのチェックリスト」にて、自身、自部署のケアをチェックする。

② 相互協力
 日ごろより、お互いにそれぞれのケアが適切なレベルに保たれているか注意し合うことが大切である。そのために、随時、それぞれの職員の不適切ケアについて話し合う。

③ 倫理観のチェック
 部署全体の判断基準そのものが低下してしまうと、不適切ケアが行われていてもチェックリストや相互チェックで見いだすことが困難となり、不適切な言動も『これくらいなら問題ないだろう』と判断されてしまうため、部署全体の倫理観の低下防止、向上が必要となる。
その方策として、部署の倫理基準が良好かを定期的に相互チェックする「他部署見学研修」と「虐待防止委員会の訪問チェック」などを実施する。

(2) 利用者・家族の判断調査
① 利用者定期調査の実施
 利用者・家族へ自部署のケアの満足度や要望などについて、定期的に聞き取りや書面調査などのアンケートを実施する。

② 苦情受付窓口の設置
 苦情に関する受付窓口、意見箱などの設置をする(既存窓口の活用も可)。

(3) 利用者の観察
 職員は、利用者の異常をより早期から発見するために日ごろから注意深く観察すること。この際、特に以下の状況を発見したら早急に対応すること。
・利用者の体にあざがある
・服が汚れたまま、部屋が汚れたまま、部屋から異臭がする
・家族を恐れるそぶりをする
・不適切なケアを示唆する利用者の言動
・その他

5. 虐待発生時の対応
虐待発生時の対応は以下の通りとする。
 ・虐待を疑った場合は、すぐに管理者または法人本部に報告すること
・管理者、法人本部は、至急、事実関係の調査に当たること
・虐待に当たる場合は速やかに自治体に報告すること
・緊急対応が必要と思われる場合は、必要な防止策を速やかにとること
・発生に至る経過を分析し、早急に再発防止策を立て、関係者、自治体などへも報告すること

6. 虐待発生時の相談・報告体制について
虐待発生時の相談・報告体制は以下の通りとする。
 ・虐待およびその恐れがある事象を把握した者は、迅速に部署管理者に相談・報告する
 ・管理者への相談・報告が困難な場合は、虐待担当者へ相談・報告する
 ・虐待担当者への相談・報告が困難な場合は、法人本部へ相談・報告する
・法人本部への相談・報告が困難な場合は、市町村へ相談・報告する
・上記には、相談・報告が困難な場合のほか、相談・報告しても事態が改善されない場合も含む

7. 成年後見制度の利用支援について
 ・職員および委員会は、利用者から成年後見制度に関して、相談、利用の申し出があった場合は、積極的に支援すること
・職員は、利用者からの申し出がない場合も、成年後見制度の利用が本人の生活の質の改善に効果的だと判断した場合は、管理者または委員会へ相談・報告すること
・管理者または委員会は、相談・報告を受けた場合または、自らその必要性を把握した場合は、成年後見制度の利用が本人の生活の質の改善に効果があるかどうかを判断し、必要がある際は、積極的に相談・支援を申し出ること

8. 虐待に関する苦情解決について
 ・虐待に関する苦情については、迅速かつ丁寧に対応すること
 ・苦情解決への対応策は、本人、家族へ丁寧に説明すること
 ・苦情があった場合は、緊急に委員会を開催し、その内容について把握・審議すること
 ・必要に応じて、虐待に関する専門家、法律関係者などを交えて解決方法について協議すること
 ・必要がある場合は、公正中立な第三者機関、法的機関、自治体を交えて協議、対応すること

9. 情報提供(閲覧)の方針
本指針は、利用者、家族から閲覧の求めがあった場合は、これに応じるものとする。

10. その他
本指針は虐待防止委員会において定期的に見直し、必要に応じて改訂するものとする。改訂時には、改訂内容について、全職員に周知徹底する。



附則
 本指針は令和 5年 4月  1日より施行する。


(以後、改訂時には改訂年月日[令和  年  月  日  改訂]を入れる)



                         身体拘束等の適正化のための指針

 1.身体拘束廃止に関する基本的な考え方 身体拘束は利用者の生活の自由を制限するものであり、利用者の尊厳ある生活を阻むものである。利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職 員一人ひとりが身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、身体拘 束をしない支援の実施に努める。
 (1)身体拘束及びその他の行動を制限する行為の原則禁止 原則として、身体拘束及びその他の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」 という。)を禁止とする。 (2)身体拘束等を行う基準 やむを得ず身体拘束等を行う場合には、以下の3要件を全て満たす必要があり、その場合であっても、身体拘束等を行う判断は組織的かつ慎重に行う。 
①切迫性 利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる
可能性が著しく高いこと。 
②非代替性  身体拘束等を行う以外に代替する方法がないこと。
③一時性  体拘束等が一時的であること。 

(3)日常的支援における留意事項 身体拘束等を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことを取組む。 
① 利用者主体の行動・尊厳ある生活に努める。 
② 言葉や応対等で利用者の精神的な自由を妨げないよう努める。 
③ 利用者の思いをくみ取る、利用者の移行に沿った支援を提供し、多職種協 働で個々に応じた丁寧な対応をする。 
④ 利用者の安全を確保する観点から、利用者の自由(身体的・精神的)を安 易に妨げるような行動は行わない。 
⑤ 万一やむを得ず安全確保を優先する場合、身体拘束適正化委員会において検討する。
⑥「やむを得ない」と拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返りながら利用者に主体的な生活をしていただけるよう努める。 
(4)情報開示 本指針はホームページにて公表し、利用者等からの閲覧の求めには速やかに応ずる。 
2.身体拘束適正化に向けた体制 
(1)身体拘束適正化委員会の設置 身体拘束の廃止向けて身体拘束等適正化委員会を設置し、その結果について従業者に周知徹底を図る。
 ①設置目的 
(ア)事業所内での身体拘束等廃止に向けての現状把握及び改善についての検討 (イ)身体拘束等を実現せざるを得ない場合の検討及び手続き
(ウ)身体拘束等を実施した場合の解除の検討 
(エ)身体拘束等廃止に関する職員全体への指導 
②委員会の構成員 委員会は管理者、虐待防止・事故対策委員からそれぞれ1名。 委員会は上記構成員をもって構成するほか、必要に応じてその他職種職員を参加させることができることとする。 
(2)やむを得ず身体拘束等を行う場合の対応 本人又は他利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず 身体拘束等を行わなければならない場合は、以下の手順をふまえて行うことと する。 
(ア)利用前 
① 事前の情報で緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は身体拘束等適 正化委員会にて協議する。
② 身体拘束等の内容、時間等について、個別支援計画等に記載し、利用者及 び家族に対し現場責任者が説明を行い、「緊急やむを得ない身体拘束に関 する同意書」を以て同意を得る。 
(イ)利用時 利用中の経過から緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は、身体拘 束等適正化委員会において実施件数の確認と身体拘束等をやむを得ず実施 している場合(解除も含む)については協議検討し、議事録に残す。 
(ウ)身体拘束等の継続と解除 
① 身体拘束等を行っている間は日々経過観察を行い、「緊急やむを得ない身 体拘束に関する経過観察・検討記録」を用いて、身体拘束発生時にその態 様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由そ の他必要な事項を記録する。 ② 身体拘束等適正化委員会において協議し、継続か廃止かの検討を行う。
③ 身体拘束等継続の場合は、引き続き日々の経過観察を行い、「身体拘束経 過記録」に記録する。 
④ 身体拘束等解除の場合は即日、相談員より家族に身体拘束等解除について 説明し同意を得る。 
(エ)緊急時 
① 緊急やむを得ず身体拘束等を行うときは、職員同士で協議し緊急やむを得 ない理由をケース記録に記録する。その後の事は身体拘束等適正化委員会 において協議する。 
②家族への説明は翌日までに相談員が行い、同意を得る。 3.身体拘束等に向けた各職種の役割 身体拘束等の廃止のために、各職種の専門性に基づくアプローチから、多職種協働を基本とし、それぞれの果たすべき役割に責任を持って対応する。 
(管理者) 身体拘束廃止・適正化の検討に係る全体責任者
(管理者) ① 身体拘束等適正化委員会の統括管理 
      ② 支援現場における諸課題の統括管理 
      ③ 身体拘束等廃止に向けた職員教育 
(虐待委員)① 家族、相談支援専門員との連絡調整 
      ② 本人の意向に沿った支援の確立 
      ③ 施設のハード・ソフト面の改善 ④ 記録の整備 
(看護師・介護士) 
      ① 拘束がもたらす弊害を正確に認識する。
      ② 利用者の尊厳を理解する。
      ③ 利用者の疾病、障害等による行動特性の理解 
      ④ 利用者個々の心身の状況を把握し基本的ケアに努める 
      ⑤ 利用者とのコミュニケーションを充分にとる 
      ⑥ 記録は正確かつ丁寧に記録する 
4.身体拘束等廃止・適正化のための職員教育、研修 支援に関わる全ての職員に対して、身体拘束等廃止と人権を尊重したケアの励行 を図り、職員研修を行う。 
      ① 年間研修計画に基づく定期的な教育・研修(年1回以上開催)の実施。
      ② 新任者採用時は、新任者のための身体拘束等廃止・適正化研修を実施。 
      ③ その他必要な教育・研修の実施。
      ④ 上記教育・研修の実施内容については記録を残す。

 附 則 この指針は、令和6年4月1日より施行する。


【指針】感染対策 及び 事故防止

1. 目的
事業所での感染症発生の予防およびまん延を防止するための各種活動や体制を整備することを目的として、本指針を策定する。

2. 基本的考え方
利用者のQOL維持・向上のために感染の予防およびまん延の防止をすることは重要である。この際、介護事業所には、感染しやすい者、感染した際に重症化する危険性の高い(ハイリスク)者が多数いることを前提として対応することが必要である。
また、感染防止策を全職員が把握し、適切かつ効果的な対応活動を実施することが求められる。そのために、組織として感染対策に取り組むことが重要であり、法人内に感染対策委員会を設置する。
併せて、職員が感染対策に取り組める環境づくりが重要である。そのために、感染対策に関する正しい知識と技術を向上させるための研修会を定期的に開催する。

3. 管理体制
(1) 感染対策委員会
事業所での感染、まん延の防止対策を検討するために「感染対策委員会」を設置する。

<委員会の構成>
感染対策委員会は以下の者で構成する。各委員の役割は以下の通りとする。
① 管理者
部門運営全般の指揮
② 看護職員(委員長および感染症対策担当者兼務)
感染症対策全般の指揮
③ 介護職員
感染症に関する現場情報の収集・報告
感染症まん延防止に沿った介護の提供
④ 生活相談員
本人・家族への情報提供、心理的サポート
⑤ その他
(例:可能であれば外部の感染症の専門家など)

<委員会の業務>
 感染対策委員会は、年に2回の定期開催のほか、委員長の招集により必要に応じて開催し、次に掲げる事項について審議する。
① 地域、類似分野での感染に関する情報収集、分析、対策計画の策定
② 利用者の状況把握、分析、対策計画の策定
③ 職員の状況把握、分析、対策計画の策定
④ 感染対策に関する職員研修
⑤ 各部での感染対策実施状況の把握、分析、対策計画の策定
⑥ その他、感染対策に関すること

(2) 職員研修の実施
事業所の職員に対し、感染対策の知識・技術の習得、向上を目的として、感染対策委員会の企画により、以下の通り実施する。
①新規採用者対象
新規採用時に基本的な感染対策に関する研修を実施する。
②全職員対象
年2回、全職員を対象として感染対策に関する研修を行う。
③その他
上記のほか、必要と思われる対象者に、必要と思われる時期に研修を行う。

(3) 訓練(シミュレーション)
感染対応能力を高めるために、具体的な設定条件の下での訓練(シミュレーション訓練)を以下の通り実施する。
①対象者
全職員を対象に実施する。
②実施回数
年1回実施する。
③実施方法
訓練対象となる感染症、原因物質、対応場面(嘔吐時など)などを設定し、発生時の具体的な対応方法について、実技を用いた実践形式で訓練する。

4. 平常時の対応
(1) 衛生管理
・日頃より整理整頓を心掛け、こまめに清掃する(1日1回以上)。使用した雑巾などはこまめに洗浄、乾燥する
・机、床上などに目視できる血液、排泄物、分泌物などが付着している場合は、手袋を装着し消毒用の次亜塩素酸ナトリウムで清拭後、湿式清掃し乾燥させる
・浴槽、浴室はこまめに清掃する
・トイレはこまめに清掃する[午前・午後各1回(必要に応じて1回以上)]
・排泄物の処理後は十分な手洗い、手指消毒を実施する
・利用者の血液、体液の取り扱いには細心の注意を払う

(2) 標準的感染予防活動
・入室前の手指消毒
・業務開始前の手洗い、または手指消毒
・飲食物配布前の手洗い
・排泄物などの処理後、トイレや風呂の清掃後、嘔吐物処理後の手洗い
・手洗いは、「せっけんで10秒以上もみ洗いした後、流水で15秒以上洗い流す」を2回繰り返す

(3) 利用者の観察
職員は、利用者の異常をより早期に発見するために日頃から注意深く観察する。この際、特に以下の症状を発見したら早急に対応する。
・発熱  ・嘔吐  ・下痢  ・咳  ・鼻水  ・痰  ・発疹  ・嗅覚、味覚障害
・その他感染症を疑う症状 など

5. 感染発生時の対応
感染時の対応は以下の通りとする。
・感染を疑った場合は、すぐに管理者および看護職に報告すること
・看護職は、必要な処置、他職員への指示、利用者への助言などを行う
・看護職(感染対策担当者)は、発生状況の把握および感染拡大の防止に努めること
・管理者は、報告基準を満たしている場合は、速やかに医療機関、保健所、市町村などへ報告し、
指示を仰ぐこと
・発生時の連絡体制などについては、別紙「感染症発生時の対応フロー」を参照すること
・職員は別に定める感染対応マニュアルに沿って、速やかに感染拡大防止策をとること

6. 情報提供(閲覧)の方針
本指針は、利用者、家族から閲覧の求めがあった場合は、これに応じるものとする。

7. その他
本指針は感染対策委員会において定期的に見直し、必要に応じて改訂するものとする。改訂時には、改訂内容について、全職員に周知徹底する。



附則
 本指針は令和 5年 4月 1日より施行する。


(以後、改訂時には改訂年月日[令和  年  月  日  改訂]を入れる)



                        事故発生防止のための指針

(目的)
 第 1 条 インシデント及びアクシデント(以下、「事故」という。)事例を報告することに より、業務上事故 につながる潜在的な事故要因を把握し、これに基づいて事故 の発生を防止するとともに、発生した事 故に対する適切な対応を図ることを目 的とする。つまり、過去に発生した「インシデント」・「事故」 情報を教訓にした継続的な予防・再発防止活動を通じてサービス利用者(以下、利用者)の安全 と利益を確保するための安全かつ質の高いサービスを提供することである

(用語の定義)
第2条 この要綱において、「インシデント」とは、利用者に障害を及ぼすこと は無かったが、日常の業務 でひやりとしたり、はっとした事象とする。「事故」 とは、日常の業務で予想しなかった悪い結果が 利用者に起こった事象とする

(事故防止検討委員会)
第3条 第1条の目的を遂行するための管理組織として、「事故防止検討委員会」 を設置する 2 事故防止検討委員会の委員長は、管理者とし、委員は各職員とする 3 事故防止検討委員会の役割は以下のとおりとする 
(1) 定期的(6ヶ月に 1 回)委員会を開催し、収集したデータの分析や評価、 事故の予防・再発防止を検討するとともに職員へフィードバックする 
(2) 事故防止に関する研修・教育計画を策定する 
※新採用時職員研修、年 1 回の職員研修 
(3) 事故防止に関するマニュアル類の見直し、整備を図る 
(4) 事故防止に関する情報等を収集し、職員へ情報提供することより、事故 防止への意識の高揚を図る 
(5) 事故防止実践現場検討会の運営をサポートするなど

(事故防止実践現場検討会)
第4条 第1条の目的を遂行するための実行組織として、「事故防止実践現場検討会」 を設置する
2(1) 管理者、事故防止委員は、「事故/ヒヤリハット報告書」を基に検討会 を開催し、事故等の状況の検証
(リスクの洗い出し)・現場での改善策 の策定・ 職員へのフィードバック
(情報の共有)・効果の確認をし、事故の予防・再発防 止に努める 
(2) 策定された改善策等を、管理者及び事故防止検討委員会へ報告する 
(3) 事故等防止に関わる提案を事故防止検討委員会へ提出する

(「事故」の報告対象)
第5条 報告対象となる行為は、以下のとおりとする 
(1) 業務上の行為に関わるもの(説明不足・請求ミス・誤薬・処置忘れ・判 断ミス等) (2) 利用者及びその家族に関わるもの(転倒・私物の紛失・器物破損等)
(3) 管理に関するもの(器具の故障・事業所管理上の事故等)
(4) 接遇に関するもの(不適切な接遇・不誠実な対応・苦情等)

(「事故の報告」)
第6条 「事故」の発生があった場合、それに関係した職員(非常勤務職員も含 む。以下、報告者という。) は、その内容を速やかに口頭及び「事故/ヒヤリハット報告書」に記載して報告を行う

(「インシデント」・「事故」の報告の経路) 
第7条 報告経路は、以下のとおりとする 
(1) 報告者(当事者)は、所属の上司(管理者)に口頭及び「事故/ヒヤリハット報告書」で報告する 
(2)苦情の場合、 苦情受付担当者は、利用者とのトラブルの可能性があると 判断されるものは、管理者に報告・相談し、指示をあおぐものとする

(「事故」の報告に要する時間) 
第8条 報告に要する時間は以下のとおりとする 
(1) 報告者(当事者)は、原則として「事故」が発生後、速やかに上司(管 理者)へ口頭で報告し、「事故/ヒヤリハット報告書」を作成すること。その後は 報告経路に従い、速やかに管理者の確認を得る 
(2) 報告者(当事者)は、「事故/ヒヤリハット報告書」を作成すると同時に、 直ちに上司 へ口頭により報告し、 その後は報告経路に従い管理者の判断・指示 を仰ぎ、問題解決に向け規定に従い速やかに対応する 
(3)「事故/ヒヤリハット報告書」を基に、管理者は事故防止実践現場検討会を 開催し、速やかに改善策を策定し事故防止検討委員会へ改善報告をする

(予防対策の検討・実施)
 第9条 報告を受けた上司は 速やかに必要な指示を報告者(当事者)に対して行うとともに、その原因を分析して、再発防止に努めるものとする 
2 事故防止実践現場検討会は、「事故/ヒヤリハット報告書」を基に改善報告し、業務のプロセスや管理システム等の観点から発生要因を詳細に 分析して、同様な事故を防止する為に必要な予防策を検討する 
3 事故防止検討委員会は、定期的に統計分析を実施し、「事故」の発生状況の傾向を把握し、予防策の検討に活用するものとする

(職員へのフィードバック・職員研修)
 第10条 事故防止検討委員会及び事故防止実践現場検討会は、第8条で検討した結果を全職員へ、所属の上司を通じて周知徹底する 
2 「インシデント」・「事故」情報は、報告者(当事者)への配慮及び外部への 情報漏洩を考慮して、 必要に応じて全職員へフィードバックするものとする 
3 事故発生防止の基礎的内容等の適切な知識の普及や、安全管理の徹底を図る ため、職員採用時に 研修を行うとともに、事故等を分析した結果を踏まえ、年1回の職員研修を実施する

(管理) 
第11条 「インシデント」・「事故」報告書は、事業所長が管理する 

(市町村への報告)
 第12条 利用者が事故により、骨折・窒息・介護の重度化・死亡した場合、又 は管理者が必要と判断した場合は市町村へ報告する

(事故発生防止のための指針の公表)
 第13条 事故発生防止のための方針は、利用者の求めに応じていつでも事業所内にて閲覧できるようにする。  

(その他)
 第14条 「インシデント」・「事故」報告書は、業務上の事故防止の為に使用することとし、人事考課や業績評価等に用いてはならない。 


付則 本指針は、令和3年4月1日から施行する。
                  令和6年4月1日から施行する。



【指針】ハラスメント対策

1. 目的
職場における各種ハラスメントを防止するための各種活動や体制を整備するために本指針を策定し、管理者などを含む全職員に、本指針を周知・啓発する。

2. 基本的考え方
職場での労働者の就業環境を害する言動(ハラスメント)はあってはならない。そのため、これを防止すると共に、それに起因する問題の早期解決を図ることが肝要である。
また、ハラスメントを行った者については、厳正に対処する。特に以下については、法律により対応が求められており、より厳重な対策を立てる必要がある。
 ・男女雇用機会均等法に基づく「セクシュアルハラスメント」の防止
 ・労働施策総合推進法に基づく「パワーハラスメント」の防止
 ・育児・介護休業法に基づく「マタニティハラスメント」の防止

 併せて、このほかのハラスメントの防止にも積極的に取り組むこととする。また、これらのハラスメントの行為者については、厳正に対処する。

3. ハラスメントの定義
(1) セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントとは、職場(*1)で行われる、労働者(*2)の意に反する性的な言動に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることである(厚生労働省「職場におけるハラスメント対策マニュアル」より)。

*1 職場…労働者が業務を遂行する場所を指す。通常就業している場所以外にも労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれる。したがって訪問介護、看護などのサービス時の利用者宅も職場である。勤務時間外の「宴会」「懇親の場」であっても、参加がほぼ義務であるなど、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当する。

*2 労働者…正規雇用労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員などのいわゆる非正規社員も含む、事業主が雇用するすべての労働者をいう。また、派遣社員に関しては派遣元事業主、派遣先事業主両者とも措置を講じる必要がある。


男女雇用機会均等法では、セクシュアルハラスメントを以下の2種に分類している。

・対価型セクシュアルハラスメント
職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること。
・環境型セクシュアルハラスメント
性的な言動が行われることで職場環境が不快なものとなり、労働者の能力発揮に大きな悪影響が生じること。

事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒などもセクシュアルハラスメントの行為者になり得るものであり、男性も女性も行為者にも被害者にもなり得るほか、異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当する。
職場でのセクシュアルハラスメントは、相手の性的指向(人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象とするか)、または性自認(性別に関する自己意識)にかかわらず、該当することがあり得る。
「ホモ」「オカマ」「レズ」などを含む言動は、セクシュアルハラスメントの背景になり得る。
また、性的性質を有する言動はセクシュアルハラスメントに該当する。 

 <セクシュアルハラスメントの例>
・必要もなく手や腕を触る
・抱きしめる
・入浴介助中、あからさまに性的な話をする など

(2) パワーハラスメント
パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられたりする行為である(厚生労働省「職場におけるハラスメント対策マニュアル」より)。

<パワーハラスメントの分類>
・身体的な攻撃…物を投げられる、唾を吐かれる、殴られる、胸ぐらをつかまれる
・精神的な攻撃…同僚の前で無能扱い・大きな声で叱責される、執拗に叱られる、怒鳴る、脅す、
理不尽なサービスを要求する
・人間関係からの切り離し…他職員との接触禁止、無視され挨拶されない
・過大な要求…就業間際に毎回過大な業務、達成できないノルマ・仕事量
・過小な要求…仕事を与えられない、ほかの簡単・単調な仕事を強要される
・個の侵害…勝手にスマホや机の中をのぞかれる、休みの理由をしつこく聞かれる
・その他

(3) 妊娠・出産などに関するハラスメント(マタニティハラスメント)
マタニティハラスメントとは、職場において行われる上司・同僚からの「妊娠・出産したこと、育児休業などの利用に関する言動」により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業などを申出・取得した男女労働者などの就業環境が害されることである(厚生労働省「職場におけるハラスメント対策マニュアル」より)。男女雇用機会均等法、育児・介護休業法では、マタニティハラスメントを以下の2種に分類している。

・制度などの利用への嫌がらせ型
産前休業、育児休業などの制度や措置利用に関する言動により就業環境が害されるもの。
・状態への嫌がらせ型
女性労働者が妊娠、出産したことなどに関する言動により就業環境が害されるもの。

なお、以下の言動はハラスメントではない。
・認知症の症状として出現した言動(BPSDなど)
 認知症の症状として出現した言動(BPSDなど)はハラスメントではない。ただし、病気の症状として出た暴言、暴力であっても、職員の安全確保に配慮する必要があることは変わりない。事業所として、ケアマネや医師、行政などと連携を取りながら適切な対応をすることが大切である。また、暴言・暴力などを受けた場合は、一人で問題を抱え込まずに、すぐに上司などに報告し、組織的な対応を依頼すること。
・利用料の滞納
滞納は債務不履行の問題。ただし、不払いの際の言動がハラスメントに該当する場合もある。
・苦情の申し立て
苦情の申し立てはハラスメントではない。ただし、苦情申し立ての際の言動がハラスメントに該当する場合もある。

4. 管理体制
(1) 相談窓口の設置
職場におけるハラスメントの防止を推進し、ハラスメントゼロを実現・継続するために、一元的なハラスメント相談窓口をあらかじめ設置し、相談窓口の担当者を配置する。
ハラスメントが現実に起きている場合だけでなく、その恐れがある場合や該当するか否か微妙な場合であっても広く相談に対応する。

(2) 相談に関して
 相談したことや事実関係の確認に協力したことなどをもって不利益な取り扱いをしてはならない。相談者・行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
ハラスメントの被害者に限らず、すべての職員はハラスメントに関する相談および苦情を相談窓口へ申し出ることができる。

(3) 研修
ハラスメントに関する研修を以下の通り実施する。
 ・新入職員   入社時 ハラスメントを受けたときの対応などについて
 ・全職員    年1回 ハラスメントの防止について
 ・管理者など  年1回 管理者向けハラスメントの防止について

(4) 周知・啓発
ハラスメントの内容、ハラスメント禁止の旨、厳正な対処をする旨などについて、本指針に規定すると共に、職員に周知・啓発する。
 利用契約書に『暴言などによって信頼関係維持が困難となり、サービス提供ができなくなった場合は、書面で通知することで契約解除できる』と明記する。

5. ハラスメント発生時の対応
ハラスメント発生時の対応は以下の通りとする。

(1) 相談窓口、本部
・事実関係を迅速かつ正確に確認する(必要に応じて、行為者、被害者、上司、その他職員などに事実関係を聴取する)
・前項の聴取を求められた職員などは、正当な理由なくこれを拒むことはできない
・事実関係が確認できた場合は、速やかに被害者に対する配慮の措置をとる
・事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を厳正に行う
・再発防止に向けた措置を講ずる(事実確認ができなかった場合も含む)

(2) 被害者
・自身の身を守ることを最優先とし、危険を感じた場合はその場を離れる
・注意しても止まらない場合などは、「ケアを提供できる状況ではないのでこれで失礼します」と    言って、その場から離れる。安全な場所まで移動したら、管理者など上司に連絡する

(3) 対応例
・話し合いでハラスメントを行わないよう申し入れ、対応で改善可能なことは聞き入れる
・担当を変える、または複数で対応する
・行為者の言動、話し合いの内容、事業所の対応内容などをこまめに記録しておく
・ケアマネ、包括なども交えて話し合い、サービス提供困難な場合には契約解除を検討する
・契約解除に当たっては、事前に役所へ相談しておく
・必要があれば「契約解除通知書」を発行する。通知書には解除に至る根拠を明記すると同時に、解除までに同様の行為があった場合は、即日解約の旨を明記しておく
・利用契約書に『暴言などにより信頼関係維持が困難となり、サービス提供ができなくなった場合は、書面で通知することで契約解除できる』と明記しておく

6. 情報提供(閲覧)の方針
本指針は、職員に周知・啓蒙し、閲覧の求めがあった場合は、これに応じるものとする。

7. その他
本指針は必要に応じて改訂し、改訂時には内容について、全職員に周知徹底する。



附則
 本指針は令和 3年 4月 1日より施行する。


(以後、改訂時には改訂年月日[令和  年  月  日  改訂]を入れる)